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Toggle1.「SDGs・サステナブル」とは
SDGsとは、国連が定めた持続可能な開発目標です。2015年に行われた国連サミットで採択されました。「地球上の誰一人取り残さない」を合言葉に、2030年までに環境問題などの解決を目指すものです。
2030年が近づくにつれて、メディアで取り上げられることが増え認知度が高まっています。大量生産・大量消費が当たり前になった経済社会は、サステナブル(持続可能)ではありません。SDGsは、あらゆる個人・企業・自治体が取り組むものとされています。
花き業界はSDGsにどう向き合っているのでしょうか。
皆さんも「ロスフラワー」という言葉を聞いたことがあると思います。「ロスフラワー」とは生産された花が、市場に出荷される過程で、あるいは販売された花が売れ残ったことで、廃棄されることを指します。
今回は「ロスフラワー」に対する取り組みを紹介します。
2.廃棄、ロスフラワー問題
コロナ禍に見舞われた2020年には、花の需要が見込まれる結婚式・卒業式・入学式などの催事が中止されたことや、店舗が休業に追い込まれたことを受けて、多くの花が行き場をなくしてしまいました。
ロスフラワーは、コロナ禍以前から花き業界にあった根深い問題でした。小売店では仕入れた量の30〜40%が廃棄され、経済損失は年間1,500億円にものぼるといわれてきました。コロナ禍で行き場をなくした花がテレビや新聞で取り上げられたことをきっかけに、ロスフラワーの問題が一般に知られるようになりました。
2020年9月、花き流通業者により「フラワーライフ振興協議会」が設立されました。コロナ禍により起きた大量のロスフラワー問題の解決と、花の魅力を活かした新たな生活様式を創出すること等を目的に、全国で活動を展開している協議会です。農林水産省の「公共施設における花きの活用拡大事業」を受託しています。
フラワーライフ振興協議会によると、2020年の花の流通金額は、前年2019年に比べて約43.8%減少しました。この協議会ではロスフラワー問題の現状や、花の催しに関する情報発信を行っています。
参照:フラワーライフ振興協議会 |【フラワーロスについて考える】コロナ禍で行き場を失ったお花たち
3.販売における取り組み
大阪にあるホテルZenis Osakaでは、SDGsウィークに合わせた9月25日・26日に、ロスフラワーを活用したアレンジメントを学ぶワークショップ「Zentis Craftsmanship : Flowerball」(ゼンティス クラフツマンシップ フラワーボール)を開催しました。廃棄予定だった花を活かし、サステナブルなアクションを日常に取り入れる機会を提供するものでした。
「bloomee(ブルーミー)」は、旬の花を定期便で届けるサービスです。生花店・市場・生産者と協力した体制で、事前に必要な分の花を仕入れ、売れ残りなどによるロスフラワーを減らしています。この「お花のSDGs」の取り組みは、農林水産大臣賞を受賞しました。
bloomeeは、規格外の花を産地から適正価格で買い付け、定期便の花に一部含めて届けるということも行っています。花は形によっては、品質が良くても、規格外とされて使われないことがありました。丈が一般的な規格より短かったり、曲がっていたりする花がその例です。こうした花を商品に一部含めることも、ロスフラワーを減らすことにつながっています。
香川県高松市のフラワーアレンジメント工房「フローラルルーチェ」は、2021年6月25日から、規格外の花を取り扱う店舗「#ハナハミネ」を運営されています。#ハナハミネには、ロスフラワーを軸に作成された「花のドレス」が展示されています。「展示を通して一人でも多く方にロスフラワーのことを知ってもらい、日々の暮らしの中で花を飾る人の輪を広げていきたい」という想いがあります。
#ハナハミネでは、見る・飾る以外の新たな花の楽しみ方として、食べられる花「エディブルフラワー」を活かしたお菓子の開発も行われています。
4.終わりに
SDGs(持続可能な開発目標)では、17の目標のひとつとして「つくる責任 つかう責任」がうたわれています。生産者でも消費者でも、それぞれの立場が協力し合うことで花をサステナブルに大切にすることができます。
日本におけるロスフラワー削減への取り組みはまだ始まったばかりです。花の魅力を活かした新しいビジネスアイデアがこれからますます生まれることが期待されます。皆さんもロスフラワーを減らすための取り組みを行っている業者を応援してみてはいかがでしょうか。
ライター:長谷川
(参照サイト)
【終了】2022年9月25(日)・26日(月) 「Zentis Craftsmanship: Flowerball」を開催