『お盆の種類』7月盆、8月盆、旧暦盆の違いとは?

お盆について調べていて、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか?

  • お盆は地域によって時期が異なるけど、なぜ?
  • お盆は何故夏に行われるの?
  • お盆には各地でどのような行事が行われている?

この記事では、お盆の種類から由来、各地の伝統的な行事についてまとめてみました。

お盆の種類

日本で暮らす私たちにとって、夏のお盆は大切な行事のひとつで、お盆の時期には多くの方が故郷へ帰省したり、お墓参りやご先祖様をお迎えするさまざまな行事をいます。そんな夏の風物詩であるお盆ですが、地域によってその時期が異なることをご存知でしょうか。お盆の時期は、7月15日を中心に行う「7月盆(新盆)」、8月15日を中心とした「8月盆(旧盆、月遅れ盆)」、そして旧暦の7月15日に合わせて行われる「旧暦盆」の3つに分けられます。このように3つに分かれた理由としては、明治政府が日本の近代化を進め西洋との統一をはかるために、1872年に、それまで使われていた太陰太陽暦から、太陽暦(グレゴリオ暦)へと改暦したことが原因となります。
この時の改暦により、1872(明治5)年12月3日は1873(明治6)年1月1日とされました。東京を中心とした都市部では、改暦にともなって新暦の7月15日にお盆を行うようになりましたが、それ以外の地域では、7月と言えばまだまだ農作業の繁忙期であったこともあり、人々の生活感覚に馴染まず、広い地域で1か月遅れの8月15日にお盆が行われるようになりました。さらに、漁業が盛んな沖縄では、月の満ち欠けをもとにした旧暦は生活と強く結びついており、現在でも旧暦の7月15日に合わせてお盆が行われています。旧暦である太陰太陽暦は、新月と新月のあいだを1か月と考え、太陽の動きによる季節とのずれが大きくなると、閏(うるう)月を入れて補正する暦でした。このように月の満ち欠けを基準とした自然現象にもとづいた旧暦では、7月15日は必ず満月となり、お盆には月の光を頼りにご先祖様の御霊が帰ってくるという考えから、梅雨のまだ明けきらぬ7月盆よりも、月明かりの美しくなる8月盆の方が広い地域で採用されたという説もあります。

お盆の由来

明治政府による改暦以前は、日本のお盆といえば旧暦盆ひとつだけでしたが、なぜ7月15日にお盆は行われていたのでしょうか?お盆とは、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、または「盂蘭盆(うらぼん)」とも呼ばれる仏教行事のことで、この起源について『仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)』に次のように説かれています。お釈迦様の十大弟子のひとりで、「神通第一」と言われる強力な神通力を持った「目連(もくれん)尊者」という方がいました。ある時、目連が、亡くなった父母のために何かできないかと思い、その神通力で探してみたところ、亡き母が餓鬼の世界に堕ちて、飲むことも食べることもできずに骨と皮だけになって苦しんでいることを知りました。目連は悲しみ、鉢に御飯を盛って母のもとへ行きましたが、母がそれを口にしようとしたとたん御飯は燃えて炭になってしまい、食べることができませんでした。目連は泣き叫び、お釈迦様に助けを求めたところ、「おまえの母は罪が重く、おまえひとりの力ではどうすることもできない。十方の僧たちの偉大な力を借りれば解脱することができるだろう。十方の衆僧が夏の修行を終える7月15日に、食べ物や飲み物、寝具など、世の甘美を尽くして盆の中に入れて、十方の大徳の衆僧を供養しなさい。そうすれば、父母も七世の祖先までも苦しみから救うことができるだろう」と説かれました。目連がお釈迦様に教えられたとおりにすると、集まった修行者たちは大変喜び、目連の母親は気の遠くなるような長い餓鬼の苦しみから救われました。目連が、「将来のすべての仏弟子も、同じようにすれば父母から七世の先祖まで救うことができますか」とたずねたところ、「良い質問だ。今言おうと思っていたことを聞いてくれた。誰であっても、まさに生んでくれた父母から七世の祖先までのために、僧が夏の修行を終える日である7月15日に、多くの飲食物をお盆に入れ、十方の僧に施して祈願してもらいなさい。そうすれば、父母から七世の先祖まで救うことができる」と説かれました。これに基づき、日本では毎年7月15日に、先祖供養の行事としてお盆が行われるようになったのです。

各地のお盆の過ごし方

お盆にまつわる日本の行事や風習は、迎え火や送り火、盆踊りや花火大会など、さまざまなものがあり、京都の「五山の送り火」や徳島の「阿波踊り」、長崎の「精霊流し」、沖縄の「エイサー」なども、お盆に行われる伝統的な行事のひとつです。お盆の時期だけでなく、その過ごし方も地域によってそれぞれ異なりますが、親族が集まって故人やご先祖様を偲び、心を寄せるという、お盆の根幹となる精神はどの地域でも共通するものです。

お盆の種類まとめ

お盆の種類についてまとめると、以下のようになります。

  • 明治時代の改暦が原因で3種類のお盆がある
  • お盆は、仏教の経典が起源だと言われている
  • 日本各地にお盆にまつわる伝統的な行事がある

お盆という行事に込められた、人間の慈しみの心に思いを馳せながら、この時期を過ごしてみるのも良いかもしれません。

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